発注管理の方法は数多くあり、さまざまなツールや方式を組み合わせて行われるため、少々複雑です。そのため、自社に合った発注管理の方法や、具体的に何をすればよいのかが分からないという方もいるのではないでしょうか。発注管理が適切に行われていないと、在庫が足りなくなったり過剰になったりして、企業の資金を圧迫してしまうことにもつながります。この記事では、発注管理の手順過程から、発注管理に関するシステム導入のメリットや注意点、選び方までお伝えします。
目次
発注とは、自社のサービスに必要な物品を、他社から仕入れることを指します。つまり、発注管理とは、仕入れを適正な費用・タイミングで行えるよう管理することです。在庫を余分に持ちすぎると、保管するために多くの場所を取ってしまったり、反対に少なすぎると、発注した物品が届くまでの間に在庫が切れてしまったりすることがあります。そのため、発注管理は無くなった在庫をただ発注するだけでなく、在庫の数や消費量を把握して発注タイミングを見計らうこと、発注先を決めることなども含まれます。発注管理は細かい調整や作業も多く、企業の利益にも関わる重要な業務です。
この章では、発注管理の過程と全体の流れについて説明します。発注管理にはさまざまな業務が含まれるため、各作業項目ごとにひとつずつ確認しながら作業をすることがおすすめです。業務フローを作成すると、業務の流れを可視化できるため、誰が見ても理解しやすいでしょう。
発注管理をするときに、最初に行うことは購買依頼書の作成です。在庫管理担当が在庫を確認し、仕入れが必要な商品・材料の数を把握します。それから、発注のための購買依頼書を購買担当者に提出するという流れで、発注は行われます。発注の際には、商品・材料を発注してから、届くまでの期間も考えて発注依頼書を作成しましょう。仕入れる商品・材料の数が多いと、在庫把握と発注に時間がかかり、業務が複雑化します。そのため、余裕をもって発注を行うか、こまめに発注を行うことがおすすめです。
購買依頼書の作成が完了したら、発注方式の決定をします。発注方式は「定期発注方式」「定量発注方式」「単発発注方式」の3つに分類されます。
決まったタイミングで定期的に発注を設定する方法です。決まった曜日や日付を、予め社内で決定しておく必要があります。
残りの在庫が指定した数以下になったら発注する方法です。定期発注方式と同様、残りの在庫がいくつになったら発注するかを予め決めておく必要があります。
発注の計画が事前にされていないため、発注が決定し次第、余裕をもった発注の準備が重要です。
購買依頼書に基づき、購買部門が発注先を選定します。初めに、候補となる発注先に価格や納期などの相見積もりを取りましょう。仕入れ値・ロット数・納期・イレギュラーに対しての対応力などは業者次第でさまざまです。少ない発注数では受け付けてもらえなかったり、逆に大量発注には対応をしてもらえなかったり、発注数ごとに価格が変わったりする場合があります。そのため、発注先の選定は重要です。自社の発注規模に合った発注先かどうかを、契約前によく確認しておきましょう。
自社に合う発注先が見つかったら、発注に向けて契約を締結します。発注先が新規の場合は、仕入れ前に取引のために契約を締結しなければなりません。継続して取引をする予定の発注先とは、基本契約として発注に関する取り決めをします。発注するたびに毎回契約書を取り交わすと、手間がかかるため、基本契約をした後は発注書の取り交わしのみで商品のやり取りを行います。
選定した発注先に対して、発注書を作成し送付します。発注書には、発注する商品名と数量、価格などを入力します。取引情報は発注書を基にして記録されるため、発注書を送る前に、入力事項に誤りがないか、よく確認することが大切です。発注書を送付したら「発注書をお送りしました。」と、メールやファックスなどで連絡をしましょう。発注書のフォーマットや送付方法は、仕入先ごとに異なることがあります。相手の指定しているフォーマットが特殊な場合は、作成段階で発注先企業に確認を取っておくことが重要です。
発注管理では、納期と納品状況の管理も重要な業務です。納期が守られているか、商品・数量が間違いなく納品されているかなどを確認しましょう。この際、各発注の進捗管理も同時に行う必要があります。発注から納品までに期間が空くため、発注を済ませているにも関わらず、再度発注してしまうことを防ぐためです。また、発注管理は仕入れる商品・材料の種類が増えれば増えるほど作業が増え、時間がかかる業務です。自社に合った発注管理方法で、効率よく発注管理を進めることが重要です。
発注の重複や、在庫の枯渇を防ぐためには、発注管理が非常に重要です。そのためのツールとして、エクセルを利用している企業も多いのではないでしょうか。発注管理は主に、エクセルを使う方法と、発注管理システムを使う方法の2通りがあります。エクセルでの管理は、追加で費用がかからないというメリットがあります。発注管理システムは費用こそかかりますが、エクセルにはないメリットがあります。ここからは、発注管理システムを導入するメリットについてご紹介します。
発注管理システムを導入することで、発注管理の作業効率が上がります。在庫量を確認する時間が短縮できるようになり、在庫管理部門と購買部門とのやりとりもスムーズにできます。また、発注履歴の参照が円滑にできるため、発注先の選定も迅速に対応できるでしょう。発注管理システムではフォーマットが決まっているため、フォーマットを作成する手間がかかりません。発注管理の入力業務が必要最低限になり、作業効率は格段に上がります。
在庫量や発注の数量について、毎回手作業で入力すると、ミスが発生しやすい傾向にあります。発注管理システムを使用すれば、前回入力したデータが引き継がれて自動で反映されるため、入力ミスが少なくなります。また、同じ部門の担当者間での発注が重複してしまう事態も防げるでしょう。全社的な広い範囲の在庫・発注状況がすぐに把握できることも重要なポイントです。
発注管理システムを導入することで、在庫や発注の状況・進捗の確認が素早くでき、業務の負担が軽減されることもメリットの1つです。発注をする上で時間と手間がかかる作業のひとつに、在庫数とすでに発注済みの商品・材料の把握があります。発注済みの商品・材料が正しく把握されていないと、発注の重複が起きてしまう可能性が考えられます。足りない商品・材料の数と、発注できているかどうかの確認作業が円滑にできるようになることは、大きなメリットです。
発注管理システムを導入することで得られるメリットはさまざまにありますが、一方で、発注管理システムを導入する際は、注意しなければならないこともあります。発注管理システムを導入するにあたっての注意点について、2つご紹介します。
発注管理システムはオンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられますが、どちらを導入する場合にも、ある程度の費用がかかります。オンプレミス型のシステムでは月額の利用料はかかりませんが、導入時に初期費用がかかってしまいます。クラウド型のシステムを利用する場合、導入時の初期費用こそオンプレミス型よりも安価ですが、月額で利用料が必要です。月額で利用料がかかるクラウド型のシステムでは、発注が少ない月にも利用料が割高になる可能性があります。自社の発注サイクルに最適な、費用対効果が高いシステムを導入しましょう。
発注管理システムを導入する上で、重要なことがもう1つあります。発注担当者が、発注管理システムを扱えるようにするための教育です。今までエクセルでの発注管理しかしたことがない人や、発注管理システムを使い慣れていない人は、使いこなせるようになるまでにある程度の時間を要する傾向があります。発注管理システムの導入時には、発注担当者だけでなく、教育を担当する人の時間も多く取られてしまいます。
発注管理システムについて、現在はクラウド型システムの方がメリットを大きく感じられるでしょう。
システムのバージョンアップがスムーズで、離れた事業所でも無関係に情報を一元管理できる点が特徴です。発注管理システムを導入しても、追加の費用を支払わなければ利用したいサービスが使えない場合もあるため、選定する際には、基本サービスとして提供されている内容を細かく確認しましょう。
発注管理システムの選定では、自社の業務で必要な機能が過不足なくサポートされていることが非常に重要です。 必要な機能以上に使える機能が多すぎると、扱いにくいと感じてしまう場合があります。逆に使える機能が少ないと、手作業が多くなったり、他のシステムを追加で利用しなければならなくなったりします。自社の業務に必要な機能はどのようなものなのか、事前に考えてから選定しましょう。
発注管理システムを利用していると、使い方に困ったり、機能的な要望が生じたりする可能性があります。そのようなとき、誰にも聞けない状態だと、業務が滞ってしまいます。そのため、操作が簡単な発注管理システムを選定することは大切です。それと同時に、疑問や要望に十分に応えてもらえるサポートがあると、円滑に業務を進められます。導入後のサポートが万全であるか否かも、重要な確認事項です。
販売管理システムの管理画面が分かりにくいことや、煩雑な操作が必要とされる場合、作業に時間がかかり、業務に支障が出ることにつながります。管理画面や操作性に、エクセルの方が簡単だと思わないような使い勝手のよさが求められます。
業務の効率化をするために導入した発注管理システムの操作性が悪く、時間がかかるようでは本末転倒です。機能面だけでなく、操作性についても併せて確認しましょう。
発注管理システムは、前述の自社が必要とする業務フローに対応した機能を選ぶことが重要です。ここからは、発注管理システムの代表的な機能について、5つご紹介します。
購買計画とは、生産(販売)計画に基づいて自社に必要な商品・材料を「いつまでに」「何を」「いくつ」仕入れるか計画を立てることです。購買計画をシステムを利用して管理することで発注漏れを防ぎ、情報共有を迅速にできます。購買計画を社内で共有し把握することで、生産(販売)計画の通りに業務を進められるのです。購買計画に基づき発注を管理できれば、必要なタイミングに合わせて商品・材料が仕入れられます。
過去の発注履歴をシステムで管理することで、発注先の選定をするスピードを格段に早くできます。取り扱う商品・材料の種類が多く、発注先も多い場合、条件検索等で選定が迅速化・適正化されます。過去の発注履歴から現在の価格との差が分かったり、最安値で仕入れできる発注先を判断できたりするでしょう。システムを導入し一元管理ができれば、大幅な時間短縮が可能です。
契約管理をシステム化すれば、発注先との契約関係の確認を迅速化できます。お互いの情報共有もしやすく、いつでも内容の確認が可能です。契約管理を紙ベースでしていると、過去の契約内容の確認作業に時間がかかります。また、システム上で管理することで契約書の紛失や流出が起こるリスクも減らせます。郵送やファックスで契約書類を取り交わせば、費用と時間を削減できるでしょう。
発注に関する内容をシステム上で管理できる機能で、価格管理と納期管理ができます。システム上で管理することで、いつでも発注の状況や進捗の確認が可能です。価格管理とは、これまで仕入れた商品・材料の価格をシステム上で管理することです。価格管理をシステム上で行えば、最安値で仕入れられる発注先を選定することに役立ちます。納期管理は、商品を発注してから商品・材料が納品されるまでの期間を管理するものです。誰もが納期を正しく把握でき、納期の遅れも一目で分かります。必要な商品・材料がよいタイミングで発注できるよう可視化されるため、発注ミスを防げるでしょう。
発注して納品された商品・材料に問題がないことを確認し、発注数と納品数が合っているか検収します。仕入れた商品・材料に問題がないか、品質について確認することを、品質管理と呼びます。品質の悪い商品・材料が納品された回数や情報などの管理ができ、今後の仕入れ先の参考にできるでしょう。システム上で支払管理を行えば、発注先が多岐にわたる場合でも、ミスを抑えて確実に検収・支払いが可能です。
発注管理の目的は、仕入れにかかった費用や、在庫を適正に管理するためです。発注管理システムは発注管理の業務フローをシステムで管理するものです。各種機能は業務フローに柔軟に対応しています。業務をシステム化でき、作業効率を上げることやミスの低減に役立つことが、発注管理システムを導入するメリットです。そのほかにも、進捗管理の快適性が向上したり、全社的な情報共有が可能になったりします。自社に最適な発注管理システムを導入し、業務の効率化を図りましょう。
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