販売管理にExcelを使用するメリットと管理表の作成手順を解説

更新日:2023年04月04日
Excelで販売管理

企業にとって、販売管理は非常に重要な業務の一つです。販売管理のためのツールは数多く提供されていますが、Excelでも対応できるのでしょうか。この記事では、販売管理にExcelを使用するメリットと、管理表の作成手順を解説します。

販売管理における重要項目

販売管理は、企業にとって大変重要な業務です。販売管理をするためのツールとして、さまざまなものが提供されていますが、どのツールにも共通している項目があります。以下では、販売管理をする上で特に気をつけなければならない4つの重要項目をご紹介します。

セキュリティが高いこと

企業にとって売上や仕入れ値、取引先の情報などは、社外への流出があってはならないものです。情報流出のリスクを防ぐために、セキュリティを確保することが重要です。

また、社外だけでなく、社内でのセキュリティ対策も大切です。誰もが販売管理のツールにアクセスできてしまうと、数値が勝手に書き換えられてしまったり、データを持ち出されてしまったりするなどの問題が発生する可能性があります。パスワードを設定する、アクセス・編集の権限を設定するなどの対策ができるようにしましょう。

ミスが起きにくい設計になっているか

販売管理では、手作業でデータ入力をすることが多いため、入力ミスが発生しやすい傾向があります。人が作業している以上、ミスを完全になくすことは難しいですが、ミスが起きにくい設計に工夫することが大切です。

すべてを1から入力しなくて済むように、リストから選択できるように表を設計することも一つの手でしょう。また、ミスをしたことに周囲が気づきやすい設計になっていることも重要なポイントです。

複数人で共同管理できるか

企業の販売管理のデータを特定の担当者のみが管理していると、社内のほかの担当者との情報共有ができません。また、担当者が会社を休んだり、退職・異動をしたりした際に、「ほかの担当者ではデータの保存場所や対応方法が分からない」という問題が発生する可能性もあります。マニュアルを作るといった方法もありますが、作成には手間・時間がかかるほか、引き継ぎも大変な作業です。

販売管理データを複数人で共同管理できるような仕組みをつくることで、社内の情報共有がスムーズとなり、別の担当者でも状況を把握しやすくなります。データを共有すると、横領やデータの書き換えなどの不正も起きにくくなることも期待できます。さらに、リアルタイム共有の機能があると、同時編集がしやすくなり業務の効率化につながります。

利便性があるか

販売管理のデータを入力しても、形式やルールが統一されていない場合、「担当者にしか分からない」といった状態となり、社内でのデータ共有・連携が進みません。データを可視化できる機能や、ほかのツールとの連携ができるかどうかは、重要なポイントといえるでしょう。さらに、過去にほかのツールで入力した販売管理のデータを活用できる仕組みがあると便利です。スマートフォンやiPadなどのタブレット端末を使ったデータの入力・閲覧ができるかどうかも併せて確認しておきましょう。

販売管理をExcelでするメリット

多くの企業がExcelを使って販売管理をしています。販売管理をするためのツールとして、Excelを選ぶメリットを紹介します。

販売管理に費用がかからない

販売管理ソフトを利用すると、会社の規模に応じた費用がかかることが一般的です。一方、Excelを使った場合、ほかのソフトウェアを購入する必要なく、販売管理ができます。

また、Excelは利用経験のある人も多いため、手軽に販売管理ができることもメリットの一つです。さまざまな企業で導入されているソフトウェアのため、無料のビジネステンプレートも数多く提供されています。

カスタマイズできる

販売管理ツールを利用すると、プラン次第では、事前に用意された項目やフォーマットしか利用できないことがあります。これに対して、Excelには決まったフォーマットがないため、自社専用にカスタマイズできます。

また、既存のテンプレートが数多くあり、テンプレートを使いやすいようにカスタマイズして使用することも可能です。突然フローが増えた場合にも、必要に応じて項目を追加したり削除したりでき、柔軟に対応しやすくなります。

Excel関数の知識があれば手軽に作成できる

Excelで販売管理をする際、関数の知識があれば、手軽に販売管理表が作成できます。複雑な計算をするときも、関数を利用することでデータを入力すると自動計算するようにもでき、データ分析も可能です。複雑な計算をするときに関数が分からなくても、インターネットで調べれば関数の使い方に関する記事がすぐ出てきます。専門知識や経験がなくても手軽に利用できることは、Excelで販売管理をすることの大きなメリットです。

小規模企業はExcel管理の方が利用しやすい

小規模企業は、販売管理のデータや取引先も少ないため、Excelを利用したシンプルな販売管理表のほうが利用しやすいことがあります。業務が複雑でない小規模企業のうちは、Excelで販売管理をする企業も多いでしょう。また、販売管理のデータ入力をする人数も少ないため、リアルタイムでデータの更新ができないExcelでも支障が出にくくなります。

販売管理をExcelでするデメリット

販売管理をExcelでするメリットを紹介しましたが、反対に、販売管理をExcelでするデメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。 ここからは、Excelで販売管理をすることのデメリットについて解説します。

複数人での共同編集ができない

Excelで販売管理をすると、複数人での共同編集ができません。会社の規模が小さく、複数人での作業が必要なければそれほど影響はないかもしれませんが、企業の規模が大きくなると、共同編集できないという点は大きなデメリットとなります。

作業するパソコンが複数ある場合、データが更新された際には、すべてのパソコン上で最新のファイルを共有する作業が必要です。しかし、リアルタイムで複数あるパソコンのデータを更新することは難しいでしょう。また、販売管理をする人が入力ミスをした際に、発覚しにくいことがあります。

会計ソフトや受発注システムなどの他のツールと連携できない

Excelは、多くの会計ソフトや受発注システムなど、ほかのツールとの連携ができません。ほかのツールと連携できなければ、ツールごとにデータ入力をする必要があるため、手間が増えるだけでなく、ミスが発生するリスクも増えてしまうでしょう。また、入力ミスが発生した際も、ほかのツールと連携できていなければ、原因の特定と修正に時間がかかります。

ミスが発生しやすい

Excelにデータを入力する際には、基本的に手作業で入力するため、どうしても入力ミスが発生しやすくなります。入力ミスに加えて、関数を削除してしまい、自動計算ができなくなることもあります。販売管理表に複雑な関数を使用している場合、関数の知識を持った人がいないと復元できなかったり、復元に時間がかかったりしてしまいます。

データの管理に限界がある

Excelを用いた販売管理では、ファイルデータが増えるほど動作が重くなったり、データの管理ができなくなったりします。また、表が大きくなりすぎて閲覧しにくくなるほか、Excelのファイルを開く際の読み込みに時間がかかってしまったり、読み込めなかったりすることもあるでしょう。さらに、Excelでは期間や時系列を調べられないため、一定期間だけのデータを抽出したい場合には時間がかかります。

Excel関数の知識が必要

Excelで販売管理表を作成する際、表計算ができる設定にするためには関数の知識が必要です。また、販売管理表のデータを管理するには、表計算だけでなく、いくつかの管理表を紐付けしなければならないケースもあります。

管理表の種類が増えれば増えるほど、関数をいくつか組み合わせて販売管理表を作成することになり、より複雑な計算式が必要となります。関数の知識がないと、現場で活用できる販売管理表を作成するのに多くの時間がかかるでしょう。

販売管理をExcelで作成する方法

ここからは、テンプレートを利用せず、Excelで販売管理表を作成する方法をご紹介します。Excelで販売管理表を作成したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

マスターデータをつくる

販売管理表を作り始める前に、販売管理表の元となる、取引企業名や商品名などのデータを書き出します。販売管理に記載するデータは目的によって変わるため、自社に必要なデータを洗い出す必要があります。

マスターデータの作り込みが甘いと、後々必要なデータが揃わなかったり、販売管理表が使いにくいものになったりしてしまう可能性があります。

レイアウトを考える

販売管理表のどの場所にどの情報を入れるのか、大まかな配置を考えます。配布されているテンプレートに使いたい項目がある場合は、引用してもよいでしょう。途中で「行」が空いていると関数に使えない機能が出てくるため、レイアウトには空白を作らずに作成することがおすすめです。

また、販売管理表を使用するうちにデータが増えて、スクロールして見えづらくならないように「取引企業名」や「商品名」などの項目は、常に見えるように固定しておくことがおすすめです。見やすい販売管理表を作るために、列の中央揃えや背景色の変更なども併せて考えましょう。

実際に数字を入れてみる

レイアウトを作成したら、実際に数字やデータを入力してセルの大きさを調整します。金額や個数などの数値は、右寄せで配置されるように設定すると、見やすい販売管理表となります。

文字や数字が詰まっていて表全体が見にくい場合は、セルの高さを調節しましょう。数字を入れてみてから、再度レイアウトを調整することが重要です。

関数を入力する

具体的な数値を入力したあとは、関数を設定します。以下では、管理表作成に便利な関数をいくつか紹介します。

■COUNTIF(カウントイフ)関数

=COUNTIF(範囲, 条件)

COUNTIF(カウントイフ)関数は、条件を満たすセルが指定した範囲内にいくつあるか数えられる関数です。客単価○○円以上の顧客数や、商品別の販売個数などを求めるときに使用します。

■SUMIF(サムイフ)関数

=SUMIF(範囲,検索条件,合計範囲)

SUMIF(サムイフ)関数は、指定した範囲内で条件を満たすセルの値を合計できる関数です。商品別の売上金額の合計や、取引先別の売上金額の合計などを求めるときに使用します。

■AVERAGE(アベレージ)関数

=AVERAGE(範囲)

AVERAGE(アベレージ)関数は、指定した範囲内のセルの平均値を算出できる関数です。月別売上の平均値や顧客の平均売上単価などを求めるときに使用します。

Excelの問題を解決するなら「販売管理システム」

販売管理システムには、Excelにはないさまざまな機能が備わっています。ここからは、販売管理にExcelではなく「販売管理システム」を利用するメリットについて解説します。事業拡大で販売管理をする人数が増えたり、現場業務が複雑になったりしている場合は、販売管理システムの導入をおすすめします。

Excelで販売管理するデメリットを解消できる

販売管理システムでは、Excelでできなかった複数人での共同作業やリアルタイム共有、ほかのツールとの連携が可能です。いくつかのパソコンで販売管理をする際にも情報の更新・共有がスムーズにできるため、データ処理のタイムラグによって発生する問題を防げます。また、一定期間のみのデータを取り出すことにも対応しています。ほかのツールと連携すれば、重複した無駄なデータ入力を省けるため作業の効率化にもつながります。

マーケティング活用ができる

販売管理システムを導入すると、商品や店舗、時間帯別の売れ行きなどのデータを蓄積して可視化することが可能です。売上データをもとに、売上予測や販売戦略が立てやすくなります。

また、売れ行きの傾向を掴むことで、過剰在庫や在庫切れを防ぎ、適正在庫を維持できるといったメリットもあります。そのほかにも、売上データを分析して新しい商品を開発したり、商品の改良をしたりすることにも活用できます。

Excel初心者でも利用が簡単

Excelから販売管理システムへ移行すると、決められたデータの入力だけで販売管理ができるようになります。商品コードの読み込みによる自動登録、見積書や請求書の自動作成などといった手作業でのデータ入力が減るため、人的ミスを減らせます。

また、情報管理の方法が社内で統一されるため、「担当者にしか分からない」といった業務をなくして属人化を解消できるほか、担当者・部門間での情報共有もスムーズになります。

販売管理や売上の可視化ができる

販売管理システムを導入すると、さまざまなデータをグラフや表にして可視化できます。複数の店舗やオフィスがある場合、可視化してデータ分析をすることで課題点がより分かりやすくなります。店舗ごと、商品ごとの売上や在庫の過不足を可視化できるため、機会損失や過剰在庫がないかを判断しやすくなるでしょう。

まとめ

販売管理は、企業にとって欠かせない重要な業務です。Excelには無料で使えるテンプレートが数多くあるため、表作成や関数などの知識がある場合は導入しやすいでしょう。しかし、企業の規模が大きくなってくると、Excelでの販売管理には限界があります。その際は、必要な機能を備えた販売管理システムの導入を検討しましょう。

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