販売管理とは?業務の内容や流れについて解説

更新日:2023年04月04日
販売管理

販売管理は、企業の販売活動にとって欠かせない業務の1つです。商品とお金の流れを正確に可視化できれば、販売戦略やマーケティングにも役立てられるでしょう。本記事では、販売管理業務の目的と流れ、近年注目されている販売管理システムについて解説します。最後には販売管理システムの選び方も紹介します。システム導入を検討している方もぜひ、ご覧ください。

販売管理とはどのような業務か

販売管理とは、販売する商品とお金の動きを管理する業務です。さまざまな部門と連携する必要がありますが、複数の部門をまたぐほど、情報共有の漏れやミスが起こりやすい業務でもあります。 近年では、販売管理システムの導入を検討する企業も増えており、各社で業務体制やフローの見直しを図る動きが見られています。

商品とお金の動きを管理する業務

販売管理は商品とお金の動きを管理する業務です。具体的には、以下の3つの業務に分けられます。

  • 「いつ・どこで・何を・誰に・いくつ・いくらで」販売したのかの情報を管理する
  • 販売した商品の代金を「いつ・いくら」回収したのかの情報を管理する
  • 仕入した商品の代金を「いつ・いくら」支払うのかの情報を管理する

このように、商品の仕入れから代金の回収まで、販売に関わる全ての流れを管理します。

販売管理する目的

販売管理は、一体どのような目的で実施するのでしょうか。主な目的として、以下の3つが挙げられます。

収支の可視化と利益向上

販売管理には、「いつ・どこで・何を・誰に・いくつ・いくらで」商品を販売して、どの程度の利益が得られたかを可視化する目的があります。商品・顧客ごとの売上や、売れ筋の商品、部門ごとの成果も確認できるため、販売戦略やマーケティングに活用すれば企業の利益向上につなげられます。

重複発注や納品漏れの防止

さまざまな部門と連携する販売管理では、販売に関わる部門や人員間でデータを共有します。営業部門から販売部門、在庫管理を担う複数の部門で、販売情報や進捗状況を管理・確認することで、重複発注・納品漏れの発生を防げます。 また、それぞれの部門でデータを管理するよりも、社内全体で管理する方が、入力漏れ・計算ミスなどのヒューマンエラーに気づきやすくなることも期待できます。

保管コストの削減

販売管理を適切に実施していない場合、現状の在庫数を把握できず、在庫切れを防ぐために過剰在庫を持つケースが多く見られます。販売管理で正確に受発注状況を把握しておけば、商品の売れ行きが予想できるため、過剰に在庫を持っておく必要がなくなります。無駄な在庫を持たなければ、保管コストを削減できるほか、売れ行き商品を参考に新たな商品を開発することも可能です。

販売管理の業務フローとは

販売管理は「いつ・どこで・何を・誰に・いくつ・いくらで販売したのか」「代金をいつ・いくら回収したのか」「仕入商品の代金をいつ・いくら支払うのか」など、商品を販売するまでの一連の管理業務を指します。 一般的に、以下の順で管理します。

  1. 受注管理(見積作成、受注伝票発行、取引書の締結など)
  2. 出荷管理(出荷時の書類作成、発送手配など)
  3. 請求管理(請求書発行、入金確認など)
  4. 仕入管理(発注、検収処理、検品作業など)
  5. 在庫管理(棚卸業務、入出庫管理など)

なお、仕入管理や在庫管理業務は、購買管理とも呼ばれます。

受注管理の流れ

受注管理は、見積作成から受注、関係部門への手配業務を指します。見積書の内容に問題がなければ、受注処理をして出荷準備を進めます。

見積もり作成時の管理

見積作成時は、顧客が希望する商品を「いつまでに、いくらで、いくつ欲しいのか」を聞き取り、納品日を提示します。取引相手の同意が得られるまで何度も作り直すケースもあるため、いつ作成した見積書なのかを把握できるように、時系列順に管理しておく必要があります。最終的に同意の得られた見積書は、他の見積書と間違えてしまわないよう適切に管理しておきます。

契約締結時の管理

初めて取引する企業や、既存顧客と新たな取引を始める際には、契約書の締結が必要です。納期・金額・支払方法・免責事項・商品の保証などの条件が記載された取引書を作成して、取引相手が同意すれば契約締結に進みます。契約締結後は、顧客の名称・所在地・支払情報などを管理できるように社内システムや顧客名簿に登録します。

受注時の管理

受注時には、これまでの見積書や契約書と間違いがないかを確認したうえで、受注伝票を発行して、生産部門や生産管理部門に共有します。受注情報は業務実績として上げられ、今後の営業戦略に活用できます。必要となった際に実績をすぐに確認できるように、受注データは適切に管理しておきましょう。

出荷管理の流れ

出荷管理は、受注後の商品を出荷するまでの一連の業務を指します。主に出荷伝票の作成や配送業者の手配を実施します。納期や顧客との信頼関係に関わる業務となるため、正確性とスピードが求められます。

商品出荷時の管理

受注確認後、出荷伝票の発行や荷物の発送に取り掛かります。出荷伝票は、梱包作業に必要となる重要な書類です。出荷伝票に従って商品や付属品、添付書類など、必要なものを納期に間に合うよう梱包して、発送の手配をします。

商品納品時の管理

商品が顧客のもとに納品された際、受領書に確認印を押印してもらいます。商品の納品は、社内の営業担当や配送担当が担うケースもありますが、配送業者を利用する場合もあります。また、保守管理を要する商品であれば、納品先の顧客情報を保守管理リストに含める必要があります。

請求管理の流れ

請求管理は、取引発生から代金を回収するまでの業務を指します。主な業務内容・流れは以下のとおりです。

代金請求時の管理

代金の請求については、契約時に合意した締め日までに取引を算出して、請求書を作成・送付します。請求のタイミングは、納品を確認したタイミングに発行するパターンや「25日締め」「翌月締め」など、企業によって異なります。合意内容をもとに、送付する請求書と控えの2種類を作成しましょう。

代金回収時の管理

支払いの期日までに顧客からの入金が確認できれば、入金額に誤りがないかを確認します。入金額に相違がある、支払い期日が過ぎても入金されていないなどの問題があれば、担当者から顧客へ確認の連絡をしましょう。正しく入金された場合は、売掛金データを消去して、売掛金のデータを消し込みます。入金消込は、手作業の際に最もミスが起こりやすい業務です。「口座に入金された金額はいくらか」「請求書に記載されている金額はいくらか」の双方を突き合わせて、慎重かつ正確な作業が求められます。

仕入管理の流れ

仕入管理は、商品や資材の仕入れをする業務です。仕入れのための見積書依頼や、発注書の作成、納品の確認、検品も仕入管理に含まれます。

商品発注時の管理

商品の発注時には、見積書の作成を依頼します。見積書に記載された価格や納期などの条件が合えば、発注書を作成・送付して、控えを保管しておきます。

商品入荷時の管理

発注した商品が入荷次第、納品書・受領書にサインまたは押印をして、控えを受け取ります。発注書の控えと実際に入荷した商品・資材に間違いはないか、品質に問題はないかを確認して、問題がなければ取引先へ検収書を発送します。

代金支払時の管理

取引先が検収を確認すれば、請求書が送付されます。請求書がいつまで経っても送付されない場合は、提出を催促しなければなりません。請求書と納品書の控えを照合しながら、問題がなければ支払期日までに代金を支払いましょう。支払後は、買掛金データを消去して、支払いを消し込みます。入金消込と同様に、ミスが起こりやすい業務となるため、手作業で対応する場合には、振込忘れや請求書・納品書金額の差違に気づけるようなチェック体制が必要です。

在庫の管理の流れ

在庫管理では、商品ごとの入出庫を記録して、常に適正な在庫数を維持するための管理をします。また、定期的に棚卸しを実施して、記録と実数が合っているかを確認して、間違いがあれば帳簿を訂正しなければなりません。在庫切れや大量の在庫を抱えてしまわないように、発注の調整や別倉庫からの商品移動も実施しながら、適正な在庫量を維持しましょう。

販売管理をシステム化するメリット5つ

販売管理業務は、多くの部門や従業員が関わる業務です。販売管理のシステム化は、部門ごとの管理に限界を感じている場合に有効です。データ共有や情報の一元化は、以下のようなさまざまなメリットが期待できます。

メリット①販売データを共有できる

販売管理システムを導入すれば、受注管理から在庫管理までのデータを全て共有できます。複数の部門で共有することはもちろん、営業所をまたいで共有することも可能です。手作業で管理する場合、それぞれの部門で担当者が個々に情報を管理してしまいがちですが、そういった場合、過去の実績や在庫状況を把握できません。販売データを共有することで、経営戦略やマーケティングに活かせるほか、部門間の業務連携の強化も期待できます。

メリット②人的ミスが防止できる

部門ごとにデータを個別管理する場合、伝達ミスや転記・記載ミスなどのヒューマンエラーが起こりやすくなります。なかでも発注ミスによって、出荷漏れ・在庫切れになれば、取引先にも損失を与える可能性も考えられます。販売管理システムを導入して、散在しているデータを一元化しておけば、そのようなヒューマンエラーの発生を防止でき、業務軽減にもつながります。

メリット③業務を効率化できる

データが散在している状態では、自部門の状況は把握できたとしても、他部門がどのような状況なのか、全体の進捗状況がどのようになっているのかを把握することは困難です。また、確認・承認を紙ベースで対応している場合、担当者が不在になると処理が滞ってしまうといった問題もあります。販売管理システムを導入して、データを一元管理することで、各部門の進捗状況をリアルタイムで確認できます。部門間で同じデータを扱えることは、承認処理もスムーズとなり、担当者が不在の際でも業務を継続できます。また、在庫確認や出荷指示などの工数を削減できれば、業務の効率化を図り、納品までのリードタイム短縮にもつながります。

メリット④営業・販売戦略に活かせる

販売管理システムで蓄積したデータは、販売戦略を立てる際にも役立ちます。蓄積された過去のデータを見れば、今後の需要予測を立てられ、適切な量・タイミングで在庫の補充ができるようになります。営業担当が在庫状況をタイムリーに確認できれば、効率的に営業活動ができるでしょう。また、どのような商品が現在人気なのかを分析することで、顧客への提案がしやすくなるほか、売れ行きの悪い商品の改善や、新規商品の開発につなげることも可能です。

メリット⑤クラウドシステムならテレワークに対応できる

販売管理システムがクラウドシステムであれば、インターネット上で利用できるため、テレワークでも業務ができます。営業拠点をまたいだ情報共有が可能となるほか、出張先・営業先でデータを参照して、いつでも・どこでも情報を確認できます。場所や端末に関係なくアクセスできる販売管理システムは、社員の働き方改革にも役立ちます。

販売管理システムは対応可能な業種で4分類できる

販売管理システムは、大きく4つの種類に分類されます。どのタイプが自社に合っているかを検討してみましょう。

①汎用型システムの特徴

特定の業種に限定することなく、さまざまな業務に対応できるのが汎用型システムです。一般的な販売管理にかかわる機能が搭載されており、業種や業務内容に応じて機能の追加ができるものもあります。このように、使用しながら自社の業態に噛み合うようなシステムにカスタマイズできる点が、汎用型システム最大の特徴です。

②複数業種対応型システムの特徴

複数業種対応型システムは、業種ごとに特化したパッケージシステムで、業種ごとに必要な機能を既に備えていることが特徴です。特別な商習慣がある業種では、1から機能をオーダーメイドすると、システム構築に膨大な費用と時間がかかってしまいます。一方、複数業種対応型システムであれば、食品・アパレル・製造業など、必要な機能が既にパッケージ化されているため、セミオーダー式で導入が可能です。販売管理業務に専門的な要素が強い場合や、導入費用を抑えたい場合は、自社業種に適したパッケージがないかを事前に確認してみましょう。

③特定業種向けシステムの特徴

特定業種向けシステムは、複数業種対応型のパッケージよりも細かい部分まで対応できることが特徴です。前述した複数業種対応型では、業種に当てはまっていても、特殊な業務には対応できない可能性があります。特定業種向けのシステムであれば、業種ならではの商習慣や求められる機能に特化したシステムが提供されています。例えば、食品・アパレル・貿易など、自社の業種に特化したシステムを導入したい場合や、複数業種対応型で物足りない場合には、特定業種向けシステムがおすすめです。

④在庫管理機能を持たないシステムの特徴

業種によっては在庫を持たない企業も存在するでしょう。その場合、販売管理システムに導入される在庫管理機能は必要ありません。そのような在庫を持たない業種に特化した販売管理システムも提供されており、在庫管理が不要な業種・事業主に適しています。不要な機能を省き、必要な機能のみを利用するため、販売管理システムを低コストで導入しやすくなります。

販売管理システムを選ぶポイント6つ

販売管理システムを導入する際、自社に合ったシステムを選ぶためには、業種・事業規模以外にもチェックしておきたいポイントがあります。この章では、販売管理システムを選ぶポイントについて具体的に紹介します。

①オーダーメイドシステムかパッケージシステムかを選ぶ

オーダーメイドシステムであれば、自社の業務に合わせたシステム設計が可能です。しかし、システム設計から運用までに時間を要すること、費用が高額になるといった懸念があります。パッケージシステムであれば、既に各種機能が組み込まれているため、導入期間と費用を抑えられます。ある程度はカスタマイズも可能ですが、追加する機能次第ではオーダーメイドシステムの方が早く・安く済ませられるでしょう。カスタマイズしたい内容次第では、パッケージシステムのメリットが活かせない場合もあるため、パッケージ内の機能やカスタマイズの範囲を事前に確認しておきましょう。

②クラウド型システムか自社運用型システムかを選ぶ

システムをクラウド型にするのか、自社運用型にするのかによって、費用や利便性が異なります。クラウド型であれば、月額費用を支払う必要があるものの、導入費用や保守費用を抑えられます。また、インターネット環境があればテレワークや出張・営業先などの社外でも利用可能です。法改正への対応や機能改善も自動で実施されるため、メンテナンスが不要であることも人気の理由の1つです。一方、自社運用型の場合は、自社のネットワークを構築することでインターネット環境がなくても利用できます。導入・保守費用はかかってしまいますが、月額費用は必要ありません。クラウド型も多少はシステムのカスタマイズができるものの、自社運用型の方がカスタマイズ性には優れています。自社独自のシステムとしてカスタマイズしたい、専門知識のある従業員を活かしたい、という場合には自社運用型のシステムがおすすめです。それぞれの特徴を理解して、自社での運用方法を検討したうえで決定しましょう。

③業種や業態への適合で選ぶ

特殊な商習慣を持つ業種の場合、汎用型システムでは細かな部分に対応できないため、業務に差し障りが出る可能性があります。利用しやすいようにカスタマイズすることも1つの手段ですが、費用を抑えたい場合は特定業種向けのシステムを選ぶことがおすすめです。特定業種向けであれば、業種ごとに機能がパッケージ化されており、希望する機能はセミオーダーでの追加が可能です。特殊な商習慣がなく、カスタマイズしたとしても予算内で抑えられる場合には、汎用型システムでも問題はないでしょう。

④事業規模と業務範囲への適合で選ぶ

中小企業や個人事業主の場合は、自社でカスタマイズするよりもパッケージシステムを利用する方が費用を抑えられます。管理工程やシステムを使用する人数が多い場合は、自由にカスタマイズできるオーダーメイドを視野に入れてもよいでしょう。導入費用はかかってしまいますが、業務の効率化や人件費削減、適正な在庫管理のために販売管理システムは欠かせません。将来的に考えれば、導入費用の方が安く済むケースも考えられるでしょう。導入する際は、システムで何を管理したいのかを明確にして、適合するシステムを選ぶことが重要です。自社と同じような規模・業種の企業で導入実績があるかを確認することがポイントです。すでに利用している別のシステムがある場合は、連携可能かどうかも確認しておきましょう。

⑤セキュリティリスク管理対策で選ぶ

データを一元化できることは便利な反面、セキュリティリスクがあることも理解しておかなければなりません。全ての販売情報を一元化して共有できますが、他部門に閲覧されてはならないもの、編集してほしくないものもあるでしょう。そのような場合には、部門やユーザーごとにアクセス権限が管理できるシステムを選ぶことが重要です。「自部門だけで閲覧可能にしておく」「部長のみが編集できる」など、権限を限定しておけばデータの機密性を守れます。また、操作履歴を確認できるシステムであれば、セキュリティリスクの軽減につながりますし、誰が入力したのかが分かると、詳しい入力内容を知りたい際にもすぐに尋ねられるでしょう。そのほか、自動バックアップ機能でデータの消失を防止したり、クラウドシステムのSSL認証やIPアドレス制限を取り入れたりする方法もあります。

⑥サポート体制の充実度で選ぶ

販売管理システムにトラブルが発生した場合、事業に大きな影響を与えてしまうリスクがあります。トラブルが長引くほど、社内だけでなく顧客や取引先にも影響が及ぶ可能性が高くなります。こうしたリスクを防ぐために、「トラブル発生時の対応や土日・夜間の対応も可能なのか」「早急にトラブルを解決できるサポート体制が整っているか」をチェックしておきましょう。また、小さなトラブルの際にも訪問可能なのか、電話やメール、チャットでの対応なのかなど、日常業務のトラブルに関する問い合わせ方法も確認しておく必要があります。

販売管理のまとめ

販売管理は、売上や在庫状況を把握して、商品とお金の流れを可視化するほかにも、出荷データを蓄積・分析して、経営戦略やマーケティングにも活かせます。 ただし、関連する部門が多くなるため、個々でデータを管理してしまうと、データの散在やヒューマンエラーが発生するリスクが高まります。顧客や社内でのやり取りが煩雑化して、誤出荷や在庫切れが発生することも考えられます。自社に合った販売管理システムを導入できれば、散在したデータが一元化され、情報共有の円滑化や人的ミスの防止につながります。業務連携の強化や従業員の働き方改革にもつなげられるでしょう。企業の成長、従業員の業務軽減のためにも、自社の業種・規模に合った販売管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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