販売管理システムを導入するメリット・デメリットと選定のポイントを解説

更新日:2023年04月03日
販売管理システムを導入するメリット・デメリット

販売管理システムを導入することで、売上や在庫などの販売情報を一元管理し、効率的な業務運営が可能です。周辺システムとの関係では、ERPは全社的な統合システム、CRMは顧客情報を扱うシステム、SFAは営業支援システムと関連します。販売管理システムはこれらのシステムと連携することで、より大幅な業務改善が可能です。今回は、販売管理システムのメリット、デメリット、選び方のポイントを解説します。

販売管理の目的は販売活動の見える化

販売管理とは、企業が商品やサービスを販売する際に必要な情報を一元管理することです。主にマーケティングで重要とされる「5W1H」の誰に・いつ・なぜ・どこで・いくらで販売したかを正確に把握できます。顧客情報や販売数量と価格、仕入れ情報や決済情報など、販売に関するあらゆる情報の取り扱いが可能です。販売状況を把握し、適切なコントロールができます。

販売管理システムは販売を支援し効率化する

販売管理システムは、販売管理業務に関わるさまざまな業務の支援と効率化ができるシステムです。販売管理業務は複雑で多くの数字や情報を扱うため、手書きやエクセルでの作業では人的ミスが起きやすく、トラブルになりかねません。アナログ作業をシステマチックにすることで、販売業務の正確性と効率性を向上できます。

販売管理システムを導入するメリット

販売管理システムを導入することで、販売情報の一元管理が可能になり、販売業務の正確性と効率性を向上できます。ここでは、システムを導入することで得られるメリットを5つ紹介します。

業務を効率化しコストが削減できる

1つめのメリットは、業務の効率化と費用コストの削減です。

  • 伝票処理の迅速化・正確性
  • 業務をマルチタスクに並行処理できる
  • ワークフローを統一できる

システムを導入することで、複数の業務をスピーディーにミスなく、同時に処理できます。そのため、業務負荷の軽減につながり、離職率やストレス軽減にもつながるでしょう。また、部署ごとのツールや処理の違いをなくすことで、フローを統一化でき、処理方法の違いをなくすこともできます。そのため、組織全体で業務がスムーズに進行でき、業務効率向上につながります。

人為ミスを回避できる

2つめは人為ミスの回避です。人間のミスは避けられないものであり、手作業による入力や計算ミスは必ず起きてしまいます。十分に気を付けていても、どうしてもミスが発生することは、仕方のないことです。そこで、システムを導入することで入力・計算の正確性が保証され、業務の品質向上につながります。

情報の一元化ができる

3つめは、情報の一元化ができることです。紙やエクセルでの管理は、書式や保管場所、情報を更新できているかの有無など、部署により異なるケースも多いでしょう。システムを導入すれば、書式・保管場所を統一し、リアルタイムに状況を確認・把握できます。そして、ほかの部門のデータを確認したいときは、システム権限を付与するだけで閲覧できます。従来のように逐一他部門の担当者に問い合わせて、返答を待つ必要がなく、時間短縮ができるでしょう。

経営判断がしやすい

4つめは、経営判断がしやすいことです。利益を最大級に追求するには、迅速な判断が求められます。そこで、販売管理システムを導入し、業務フローを可視化することで、業務の全体像を把握できます。管理システムの種類によっては、データをグラフ表示できる機能もあり、課題や問題点を可視化することも可能です。一元化することで、必要な情報だけを素早く取り出し、部門間をまたがずリアルタイムにデータを活用できます。

販売管理システムを導入するデメリット

メリットを紹介しましたが、販売管理システムを導入するデメリットも存在します。 ここでは、考えられるデメリットを4つ紹介します。

業務フローの変更が必要

まず、販売管理システムを導入することで、従来の業務フローからどう変わるのかを確認する必要がある点が挙げられます。部署の統合や分割、担当者の変更など、社内で人事異動や整理をする必要があるためです。また、複数の部門がある大きな組織では、大規模な変更を余儀なくされます。ただし、大きな変更や整理は1度のみで、あとは小さな変更や修正を行うだけです。たしかに、変更・整理を行う工数がかかるというデメリットもありますが、システムを走らせたほうが、会社としての利益や管理のしやすさにつながります。

システムの知識を持つ人材が必要

販売管理システムを導入するには、システムに関する知識を持つ人材が欠かせません。また、社員全員が新しいシステムに慣れるための時間もかかります。あまりにも使いにくいと、逆に時間や手間がかかり、導入の意味が無くなってしまうでしょう。そこで、操作やセットアップが得意な人材や、システムに理解がある人材が各所に必要です。既存社員への研修会を開くか、外部からシステムに特化した人材を招くなど、スタートのための準備を始めましょう。

オンプレミス型は導入コストがかかる

クラウドとは違い、自社でサーバーやネットワーク・アプリケーションを準備する「オンプレミス型」は、導入に費用がかかります。オンプレミス型は、機能の柔軟性やカスタマイズ性が高く、セキュリティも強固である点がメリットです。ただし、その分導入費用が跳ね上がり、数百万円〜数千万円ほどかかるケースもあります。費用面で検討するなら、クラウド型や、自社のパソコンにインストールが可能な「パッケージ型」の選択を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

クラウドシステムは最適化しにくい場合がある

クラウド型は、自社で物理的な機器を持たず、クラウドサーバーにアクセスしてサービスや機能を利用することです。インターネット接続ができる環境とパソコンなどのデバイスがあれば、どこからでも利用できます。一方、クラウド型は自社独自の要望に合わせてカスタマイズすることが難しく、細やかな仕様変更をできない面があります。カスタマイズ重視であれば、オンプレミス型が向いています。

販売管理システムの主な機能

この章では、販売管理システムに備わっている主な機能を紹介します。

販売管理機能:見積・受注・売上・請求に関する管理機能

販売管理機能は、営業部門で活用できるデータ管理機能です。主に、販売に関する見積・受注・売上・請求などのデータを管理できます。

在庫管理機能:出荷・入荷・棚卸に関する管理機能

在庫管理機能は、倉庫や店舗にある在庫を管理できる機能です。在庫は資産です。そのため、在庫を的確に把握しておく必要があります。

購買管理機能:発注・仕入・支払に関する管理機能

倉庫や店舗にある在庫を管理する購買管理機能は、製品やサービスの調達を管理する機能です。製品やサービスの需要予測を行うことで、適切な購買計画を立てられます。

販売管理システムを選ぶ6つのポイント

販売管理システムは、企業が売上を拡大し、生産性を向上させるために必要なツールです。システムを選ぶ際には、以下の6つのポイントを確認しましょう。

①導入目的を明確にする

1つは導入目的を明確にしましょう。現状の業務フローや課題を整理し、どの部分をどのように改善するかを書き出し、整理します。また、複数の部門にまたがっているケースでは、各部門での検討も大切です。目的を把握し、明確にすることで、自社に合った販売管理システムを選択できます。

②関係者の合意を形成する

次に関係者の合意を得ましょう。経営者や役員、情報システムの担当だけで導入を決めてしまうと、実際に使う従業員とのギャップが生まれてしまいます。担当部署や各担当者に対して現状の把握や、システム導入の目的について話し合い、合意してもらう必要があります。そうすることで、導入したあとのギャップが少なくなり、スムーズに運用できるでしょう。

③導入形態による機能の違いを知る

導入するにあたり、機能の違いについて知っておくことが大切です。大きくはクラウド・パッケージ・オンプレミス型があり、導入費用やカスタマイズ性に大きく違いがあります。また、幅広く使える「汎用型」か、特定の業界にスポットを当てた「特化型」を選ぶのかも重要です。費用面・機能面・カスタマイズ性などについて、何を優先するか・何を妥協するのかを判断して、自社に適した導入形態を選びましょう。

④操作性を確認する

システムを導入するにあたって、操作性の確認はとても大切です。全社員が簡単に、直感的に使えるシステムがよいでしょう。導入前に各部門や各担当者を集め、体験版を操作し、操作方法を確認しておく必要があります。事前に確認しておくことで、導入後の混乱も少なく済みます。

⑤カスタマイズ性を確認する

カスタマイズがどれぐらいできるかの確認も大切なチェックポイントです。自社で使う項目をカスタマイズでき、最適化できるかを確認しましょう。もし、クラウドシステムでカスタマイズが十分に行えない場合は、パッケージ型やオンプレミス型の導入も検討するとよいでしょう。ただし、導入費用がかかることや、対応機種の確認を怠ってはいけません。

⑥サポート体制を確認する

最後はサポート体制の確認をしましょう。導入するシステムで分からないことがあれば、すぐに販売元のサポート窓口と連携できることが理想です。クラウド型の場合は、メールや専用チャット、電話対応窓口があるかを確認しましょう。オンプレミス型では、障害発生時の対応方法や、保守サービスの確認について確認しておくとよいでしょう。また、保守サービスは外注に頼むケースと、社内で保守担当の人材を育成する2つの方法があります。

クラウド型の販売管理システムは導入しやすい

最後に、クラウド型のシステムは導入しやすいというメリットがあります。導入時のシステム設計、ハードウェアの準備、サーバーの設置が必要ないため、気軽に導入できます。自社で構築を行うことはなく、専門知識が不要で初心者でも扱いやすいことが特徴です。そのため、導入のハードルが低く、すぐに実用段階へ移せます。直感的に使えるようなインターフェースの製品が多くあり、システムを触ることが苦手でも、不安なく使えるでしょう。

ERP・CRM・SFAとの関係

最後に、販売管理システムとその他のシステムとの関連について紹介します。

ERP:基幹システム

ERPとは基幹系情報システムともいわれ、組織内のあらゆる部門や機能、プロセスを統合的に管理できる機能です。ERPのメリットは、情報の一元管理にあります。そのため、業務の重複や情報の不整合を防止できます。 主に会計・人事・生産・物流などの情報を一元化し、リアルタイムで共有できるシステムです。

CRM:顧客関係管理システム

CRMは企業がそれぞれの顧客との関係を管理し、ビジネスを拡大するためのシステムです。顧客情報を収集・分析し、それをもとにビジネスプロセスを改善できます。顧客満足度の向上、獲得、維持、拡大が可能です。ただし、サービスによっては、ある顧客が複数の商品を購入した場合、それぞれの商品ごとに別々の顧客情報が登録される可能性があります。自社の販売形態に合ったCRMツールを選ぶ必要があります。

SFA:営業支援システム

SFAは、営業支援システムの一種で、営業活動を支援するためにあります。営業活動に関連する情報を一元管理し、営業プロセスの効率化や顧客対応の改善が可能です。販売管理システムと連系することで、営業マンと事務間の情報共有が可能です。また、最近では、AIやビッグデータを活用したSFAシステムも開発されており、より高度な営業支援機能を提供できるようになっています。

まとめ

販売管理システムを導入することで、作業の効率化や顧客満足度の向上など、さまざまなメリットがあります。一方、導入費用や運用できる人材の確保、保守サービスの確認も必要です。自社に最適な販売管理システムを導入しましょう。

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